2019.06.26

収入印紙が必要な契約書の種類と必要な理由をわかりやすく解説


仕事で契約書を扱う際に収入印紙を扱うとき、どの契約書にいくらの印紙が必要なのか、全ての契約書に収入印紙を貼る必要があるのかなど、疑問に思うことがあるだろう。

しかし、収入印紙を曖昧な知識でいい加減に扱うと痛い目に合ってしまう。
収入印紙が必要となる契約書や、契約書の種類ごとの金額などは税法でしっかりと定められており、これを違反して、印紙を貼り忘れたり、印紙の額が足りなかったりすると、後程多額の過怠税を支払うことにもなりかねない。

そこで、契約書に収入印紙が必要な理由と、契約書に収入印紙が必要となる契約書の種類、種類ごとに必要な印紙の金額について詳しく解説していく。

1.契約書に収入印紙を貼る理由

そもそもなぜ契約書に収入印紙を貼る必要があるのか。

それは、契約書が発行された際の印紙税を納めるためだ。
税法上、契約書をはじめとしたさまざまな文書のうち、「課税文書」に分類される文書については、発行されたときに印紙税を納めなけらばならなく、その印紙税を納める方法として、収入印紙を文書に貼付するという方法がとられている。収入印紙の購入時に印紙税を前納し、契約書などの文書に貼付し消印を押すことで納付が証明されるという仕組みだ。

もしも、本来、収入印紙を貼らなければならない契約書に印紙を貼り忘れたり、印紙税代が不足していたりすると、印紙税法違反となり、後日、本来納付するべき印紙税額の3倍の額の過怠税を納めなければならなくなる。

なので、契約書の収入印紙は甘く見ずに、正しい知識のもとに正確に判断し、正しい方法で取り扱おう。

2.収入印紙が必要となる契約書は?

では、収入印紙が必要な契約書と収入印紙が不要な契約書の違いは何か。

収入印紙を貼付する必要がある契約書は、基本的に印紙税法で定められた「課税文書」に分類される契約書だ。
一方で、非課税文書、不課税文書に該当する契約書の場合は収入印紙を貼る必要はない。

そして、その契約書が課税文書に該当するか否かは、基本的にその契約書の種類と取引金額等により決まる。

では、課税文書に分類される契約書の種類や条件についてより詳しくみていこう。

3.契約書の種類ごとの必要な印紙額

発行時に印紙税を納める必要がある「課税文書」とされる文書は、1号文書から20号文書までの20種類の文書がある。
その中でも、契約書に分類される課税文書は「1号文書」「2号文書」「5号文書」「7号文書」の4つだ。
つまり、ある契約書がこの4種類の文書のいずれかに該当し、その上で課税の条件を満たす場合、その契約書には印紙が必要となる。

では、それぞれの課税対象となる契約書の種類ごとの課税条件や、納めるべき印紙税額を見ていこう。

3-1.1号文書

「1号文書」に該当するのは、以下の4種類の契約書だ。

  1. 「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書」
    →例)不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書
  2. 「地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書」
    →例)土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書
  3. 「消費貸借に関する契約書」
    →例)金銭借用証書、金銭消費貸借契約書
  4. 「運送に関する契約書」
    →例)運送契約書、貨物運送引受書

 
これら4種の契約書のうち、記載された契約金額が1万円以上の場合、課税対象となり印紙が必要になる。
(契約金額が1万円未満の場合は非課税文書となり課税されないため、印紙は必要ない。)

「1号文書」における契約金額ごとの必要な印紙税額(収入印紙の金額)は以下の通りだ。
 

契約金額必要となる収入印紙代
1万円未満非課税
1万円以上~10万円以下200円
10万円超~50万円以下400円
50万円超~100万円以下1,000円
100万円超~500万円以下2,000円
500万円超~1,000万円以下1万円
1,000万円超~5,000万円以下2万円
5,000万円超~1億円以下6万円
1億円超~5億円以下10万円
5億円超~10億円以下20万円
10億円超~50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金の記載がない場合200円

3-2.2号文書

「2号文書」に該当する契約書は、

  • 「請負に関する契約書」

だ。

この「請負に関する契約書」には、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書などが当てはまる。

また、1万円未満の場合は非課税文書となり、印紙は必要ない。

「2号文書」の契約金額ごとの必要な印紙税額(収入印紙の金額)は以下の通りだ。
 

契約金額必要となる収入印紙代
1万円未満非課税
1万円以上~100万円以下200円
100万円超~200万円以下400円
200万円超~300万円以下1,000円
300万円超~500万円以下2,000円
500万円超~1,000万円以下1万円
1,000万円超~5,000万円以下2万円
5,000万円超~1億円以下6万円
1億円超~5億円以下10万円
5億円超~10億円以下20万円
10億円超~50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金の記載がない場合200円

3-3.5号文書

「5号文書」に分類される契約書は、

  • 「合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書」

のみだ。

※ただし「会社法又は保険業法に規定する合併契約を証する文書」「会社法に規定する吸収分割契約又は新設分割計画を証する文書」に限定される。

この「5号文書」に該当する契約書の印紙税額は、契約金額に寄らず、

  • 一律4万円

となっている。

3-4.7号文書

最後に、「7号文書」に該当するのは、

  • 「継続的取引の基本となる契約書」

のみだ。

これには主に、売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書などの契約書が当てはまる。
ただし、継続性が見られないような、契約期間が3か月以内で、かつ、更新内容のない契約内容の契約書はこの「7号文書」には該当しない。

この「7号文書」に該当する契約書の印紙税額は、契約金額に寄らず、

  • 一律4,000円

となっている。

なお、課税対象となる契約書に関してさらに詳しく知りたい場合は、印紙税額一覧表|国税庁を参考にするとよい。

4.印紙の要らない「不課税文書」の契約書の例一覧

基本的には、収入印紙が必要となる契約書は、先ほど述べた条件を満たす契約書のみであるが、逆にそれらに当てはまらない「不課税文書」とされる契約書の例を以下に参考までに挙げておく。
(これら「不課税文書」には収入印紙は必要ない。)

収入印紙の要らない「不課税文書」の例

  • 秘密保持契約書
  • 技術提携契約書
  • 業務提携基本契約書
  • 委任契約書
  • リース契約書
  • 出向契約書
  • 雇用契約書
  • パートタイマー契約書
  • 労働者派遣契約書
  • 動産売買契約書(機械売買契約書など)
  • 動産賃貸借契約書
  • 使用貸借契約書
  • 示談契約書
  • ソフトウェア利用許諾契約書
  • 実用新案権通常実施権設定契約書
  • 実用新案権専用実施権設定契約書
  • 特許権専用実施権設定契約書
  • 特許権通常実施権設定契約書

5.よくある質問

Q.印紙代を負担するのは誰?

契約書の印紙代は、契約者間のうちの誰が負担するのだろうか。

結論から言うと、印紙代の負担者が誰かというのは明確には定められていない

印紙税法基本通達47条には以下のようにある。

第47条 一の課税文書を2以上の者が共同作成した場合における印紙税の納税義務は、当該文書の印紙税の全額について共同作成者全員に対してそれぞれ各別に成立するのであるが、そのうちの1人が納税義務を履行すれば当該2以上の者全員の納税義務が消滅するのであるから留意する。

第7節 作成者等|国税庁

「そのうちの1人が納税義務を履行すれば当該2以上の者全員の納税義務が消滅するのであるから留意する」とある。
つまり、印紙代は必ずしも双方で負担しなければならないというわけではなく、契約者のうち片方が印紙を貼付しても問題はないということだ。

実際は、契約書2通を契約者双方が1通ずつ保管するため、契約者双方がそれぞれ1通分ずつの印紙代を負担するというケースが多いが、実はこのように、契約書の印紙代を誰が負担するかというのは明確には決まっていないのだ。

Q.電子契約書の場合はどうする?

近年では、紙媒体を使用しない電子契約書が使用されるというケースも増えている。

当然、電子契約書の場合は収入印紙を直接貼り付けることができない。このような場合どうしたらよいのか。

国税庁ホームページでは以下のように述べられている。

注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。

国税庁

電子契約書は、電磁気的なデータとしてのやり取りであり、物理的な実体としての書面での契約書の形として交付されることはない。そのような場合は上記にあるように、印紙税は発生しない。
つまり、電子契約書の場合は収入印紙の必要はないのだ。

この電子契約書を上手く使えば印紙代の節税にもつながるだろう。

まとめ

契約書のうち、収入印紙を貼る必要があるのは、

  • 「課税文書」に分類される契約書

 
の場合であり、不課税文書や、非課税文書である場合は印紙の必要はない。

また、電子契約書の場合は収入印紙の必要はない。

収入印紙は印紙税を納めるための重要なシステムであるので、定められた規則に従って正確に取り扱おう。